
デスクの奥行は60cmと70cmに既製品が集中していて、幅と同じくらい迷いやすい寸法です。幅が「横に何を並べられるか」を決めるのに対して、奥行は「モニターとの距離」を決めます。つまり体の疲れに直結するのは奥行のほうです。モニターサイズ・手前に置くもの・部屋の余白の3つで、60で足りる人と70が要る人を分けます。幅の選び方は120cmか140cmかの記事に譲り、この記事は奥行だけを扱います。
先に結論: 奥行はモニターサイズから逆算する
24インチなら60cm、27インチは60cmがぎりぎりで70cmが快適、32インチは70cm以上。これが出発点です。
デスクの奥行で決まるのは、目と画面のあいだの距離です。画面が大きいほど、端まで見渡すために距離が要ります。一般に24インチは50cm前後、27インチは60cm以上、32インチは70cm以上が快適な視距離の目安とされます(体格や視力で個人差があります)。この距離は「奥行の数字」そのものではなく、後述する引き算をした残りなので、奥行60cmの机で60cmの距離は取れません。
| モニター | 画面の横幅 | 視距離の目安 | 奥行60cm | 奥行70cm |
|---|---|---|---|---|
| 24インチ | 約53cm | 50cm前後 | 余裕あり | 余裕あり(遠いと感じたら手前へ) |
| 27インチ | 約60cm | 60cm以上 | ぎりぎり成立(アーム推奨) | ちょうどよい |
| 32インチ | 約71cm | 70cm以上 | 詰まる | アーム前提で成立(80cmなら余裕) |
| ノートPC単体 | 約30〜36cm | — | 余裕あり | 余裕あり |
画面サイズをまだ決めていない人は、この表を逆から読んでください。奥行60cmの机が決まっているなら24インチか「27インチ+アーム」、奥行70cmなら27インチが素直な組み合わせです。サイズ側の判断は24インチと27インチの選び方で詳しく扱っています。
奥行の引き算 — スタンド・キーボード・ノートPC
奥行の数字から「机の上に置くものの奥行」を引いた残りが、目と画面の距離になります。
カタログの奥行60cmは、そのまま視距離になりません。机の上で奥行を食うものを順番に引きます。
- モニターのスタンド: 奥行18〜23cm(当サイト掲載モデルの実寸)。画面はスタンドの前縁より少し手前に出ます
- キーボードと手首の余白: 合わせて20cm前後。テンキーの有無で幅は変わりますが、奥行はほぼ同じです
- 目までの距離: 机の手前縁から目まで、前かがみでなければ20〜25cm程度が足されます
奥行60cmなら、残りはおおよそ50〜60cmの視距離。奥行70cmなら65〜75cmです。27インチの目安「60cm以上」に対して、60cmの机はぎりぎり、70cmの机は余裕がある——という結論は、この引き算から出ています。
ここで大きく変わるのがノートPCを手前に開いて置く使い方です。13〜14インチのノートPCは奥行が約22cmあり、キーボードの代わりに置くとそれだけで20cm以上を占有します。外部モニターのスタンド分と合わせると40cm以上が埋まり、奥行60cmでは視距離が45〜55cm程度まで詰まります。「ノートPC+外部モニター」の並置で27インチを使うなら、奥行70cmか、ノートPCを縦置きスタンドやアームで天板から逃がす構成のどちらかが必要です。ノートPC側の首の負担についてはノートPCで首が疲れる人の記事にまとめています。
6畳・1Kでの通路確保 — 部屋側の10cm
奥行の10cm差は机の上では小さく、部屋の中では大きく効きます。
奥行70cmを選ぶと、部屋側に10cm張り出します。壁付けの場合、デスクの前に必要なのは椅子を引くための60cm+人が通る60cm。奥行60cmのデスクなら壁から180cm、70cmなら190cmが「デスクのために使う幅」になります。
| 部屋の短辺 | 奥行60cm+椅子+通路 | 奥行70cm+椅子+通路 | 残り(ベッド等) |
|---|---|---|---|
| 6畳(約260cm) | 180cm | 190cm | 80cm/70cm |
| 1K(約240cm) | 180cm | 190cm | 60cm/50cm |
6畳では両方成立しますが、残り70〜80cmにシングルベッド(幅約100cm)は入りません。ベッドを短辺側に置かない配置なら問題なく、置くなら通路とベッドが重なる前提になります。1Kの短辺が240cm前後なら、奥行70cmは「置けるが、通路が椅子の背に当たる」状態になりやすい寸法です。
確認方法は単純で、床に「デスクの奥行+60cm+60cm」をマスキングテープで描いてみることです。数字より一目で分かります。6畳の具体的な配置パターンは6畳ワンルームのレイアウト実例、さらに狭い部屋の考え方は3畳・超狭小デスクの記事に譲ります。
奥行60cmで足りる人
画面が1枚で24インチ以下、または27インチをアームで浮かせる人。既製品の選択肢がいちばん多い帯です。
奥行60cmで足りるのは、次のどれかに当てはまる人です。
- 24インチ以下を1枚で使う。視距離50cm前後が自然に取れます
- 27インチ1枚をモニターアームで浮かせる。スタンド分の18〜23cmが戻り、視距離が70cmの机に近づきます
- ノートPC単体、またはノートPC+24インチで仕事が完結する
- 6畳以下の部屋、または2年以内に引っ越す可能性がある。奥行60cmは搬出入と間取り適応で明らかに楽です
この帯の定番が、幅120×奥行60cmの天板で組める電動昇降デスクです。FLEXISPOT EF1は昇降機能の入口となるモデルで、奥行60cmのまま高さを合わせられるので、視距離が足りない分をモニターの高さ調整で補いやすくなります。
価格・在庫は遷移先でご確認ください。
固定脚で安く済ませるなら、幅120×奥行60cmは既製デスクの最激戦区で、1万円台から選べます。60cmを選ぶときの注意は1つだけ。後から27インチをスタンドのまま置きたくなったら、アームを足す前提にしておくことです。E7との違いはFLEXISPOT 3機種の比較で扱っています。
奥行70cmが要る人、80cmは誰向けか
27インチをスタンドで置く、ノートPCと外部モニターを並べる、32インチや4Kで文字仕事をする。この3つのどれかなら70cmです。
奥行70cmが要るのは、次のどれかに当てはまる人です。
- 27インチをスタンドのまま置く。アームを付けない(付けられない)なら70cmで視距離が確保できます
- ノートPCを開いたまま外部モニターと並べる。前段の引き算のとおり、60cmでは視距離が詰まります
- 32インチ、または27インチ4Kで文字を読む時間が長い。画面が大きいほど距離が要り、4Kは距離があるほど文字の輪郭がきれいに見えます
- デュアルモニターやウルトラワイド34型。横に広い画面ほど、端を見るために距離が必要です
この帯の定番は、幅140×奥行70cmの天板で組む電動昇降デスクです。FLEXISPOT E7の140×70cm構成は大画面化・2枚化のどちらにも耐える寸法で、「デスクを作業環境の母艦にする」人の標準になっています。
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では80cmは誰向けか。32インチ以上を1枚で使う人、ウルトラワイドと機材(オーディオインターフェースやペンタブレット)を同居させる人、モニターの手前で書き物や図面を広げる人です。奥行80cmは既製品が少なく、昇降フレームに天板を別買いするか、天板オーダーになります。部屋側には60cm比で20cm張り出すので、6畳・1Kではほぼ選択肢に入りません。「70cmで届かないぶんはアームで手前に引く」ほうが現実的な場面が多い寸法です。
奥行が足りないときの補正と、迷ったときの決め方
60cmの机で27インチを使うなら、モニターアームで奥行を「稼ぐ」のが定石です。
モニターアームが奥行に効く理由は2つあります。ひとつはスタンド分の18〜23cmが天板に戻ること。もうひとつは画面を天板の後端より後ろに出せることです。アームのポールを天板の後端に固定すると、画面は壁との隙間まで下がれるので、奥行60cmの机でも実質70cm相当の視距離が取れます。逆に、70cmの机で「遠くて文字が小さい」と感じるなら、アームで手前に引けます。奥行を両方向に調整できる道具だと考えてください。
付けられる条件は、天板の厚みがクランプの範囲に収まること、天板後端に幕板や壁との干渉がないこと、モニターの重さが耐荷重に収まることの3つです。定番のエルゴトロンLXは可動域が広く、奥行方向の前後調整がしやすいのが、この用途で選ばれる理由です。
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アームが要る人・要らない人の線引きはモニターアームを付けるべき人・不要な人に、賃貸で天板を傷つけない付け方はクランプ式の記事にまとめています。
最後に、判断を3つの質問に圧縮します。上から順に答えてください。
- Q1. 画面は27インチ以上をスタンドのまま置く? — YESなら70cm。アームを付けるなら60cmでも成立します
- Q2. ノートPCを開いたまま外部モニターと並べる? — YESなら70cm寄り。60cmで組むならノートPCを縦置きかアームで天板から逃がします
- Q3. 部屋に「奥行+椅子60cm+通路60cm」を確保できる? — 70cmで確保できないなら60cm。置けても通路が椅子に当たる部屋になります
結論を1行にすると——「27インチ以上をスタンド置き・ノートPC並置・床に余裕」のどれかに当てはまれば70cm、どれにも当てはまらなければ60cm+必要ならアーム。幅と違って奥行は後から足せない寸法なので、迷ったら机の上ではなく部屋側の余白で決めてください。幅の決め方は120cmか140cmかの記事と合わせて読むと、天板の寸法が一度で決まります。
よくある質問
奥行65cmという中間の選択肢はないのですか?
既製品では少数派で、選択肢が一気に狭くなります。昇降デスクのフレームに天板を別買いするか、天板オーダーなら65cmは作れます。
ただし65cmで解決したい悩みの多くは「60cm+モニターアーム」で同じ結果になるので、まず60か70のどちらかで検討し、足りない分はアームで補正するのが現実的です。
奥行50cmや55cmの机でも仕事はできますか?
できます。条件は「24インチ以下」か「モニターアームで画面を天板の後ろへ逃がす」のどちらかです。ノートPC単体なら奥行50cmでも問題ありません。
奥行55cmの机に27インチをスタンドのまま置くのは、視距離が45〜55cm程度しか取れないので勧めません。浅い机での組み方は3畳・超狭小デスクの記事にまとめています。
奥行が深いと、画面が遠すぎて見にくくなりませんか?
奥行70cmで27インチなら視距離は65〜75cm程度で、目安の範囲に収まります。文字が小さいと感じる場合は、机を変えるより表示のスケーリングを125〜150%にするほうが先です。
それでも遠いと感じるなら、モニターアームで画面を手前に引けます。アームは奥行を「稼ぐ」だけでなく「詰める」方向にも使えます。感じ方には個人差があるので、いまの机で実際の距離を測ってから判断してください。
この記事で紹介した商品を選択済みの状態でビルダーが開きます。
合計金額を見ながら、自分の予算に合わせて1点ずつ入れ替えてください。
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続けて読むなら
デスクデスクの幅は120cmか140cmか — 20cmの差で変わること・変わらないこと
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モニター24インチと27インチ、どっちを買うか — 決めるのはデスクの奥行
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実際に在宅で仕事をしながらデスクを組み替えてきた立場から、「どういう人には必要で、どういう人には要らないか」を基準に書いています。価格・仕様は執筆時点のものです。
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